サンフランシスコのプロダクトデザイン養成所のキャリアのクラスで習ったことやその後就職活動をするにあたって経験したことを元に、アメリカ就職で必要なことを書いていきます。
目次
やること、続けること
1、人の繋がり
サンフランシスコのプロダクトデザイン養成所では、キャリアのクラスがありました。そこでは3ヶ月の在学中、とにかく「コーヒーチャット」をするよう言われました。コーヒーチャットとは、コーヒーやランチをご一緒させてもらいお話を聞く機会を頂くことです。コーヒーチャットはオンラインでもオンサイトでも構いません。
例えば同業種の先輩後輩、知り合いの知り合い、さらには気になるブログ記事など発信している方や、入りたい企業に勤めている同じポジションの方にコールドEメールを送り(知らない関係の人に突然メールをすること)機会を設けて頂きます。
先生曰く、自分の歩んでいきたい道の先にいる経験者からお話を聞くことが、なりたい自分に近づく一番の近道だそうです。
時間を作っていただいたら、必ず感謝の気持ちをお伝えする大事さも教わりました。例えばコーヒー代はこちらが出す、また、私で何かできることはありませんか?と伺うことなどです。感謝の気持ちを伝える事が人と人の関わりとして重要です。
こういった人間関係を作ることは非常に大切ですが、1回の会話の関係性で終わらせず、関係を続けることも大事だそうです。アメリカの転職の多くは紹介で成り立っています。例えばコーヒーチャットから3ヶ月後というのは、人事的にもシチュエーションが変わってきて、ちょうど人が辞めてポジションが空く可能性があるそうです。そんなとき、一番に顔を思い出してもらえる存在になる事が重要だそうです。
私は英語コミュ障なので、これは一番苦手なところです。ただ、アメリカで就職活動をしていく中で頑張っていかなくてはと思っています。
2、理想の仕事と自分の立ち位置の把握
まず理想の仕事を書き出します。ジョブタイトル、業界、雇用形態、企業文化等思いつく限り全部です。そしてそういった求人を10個ほど見て応募条件でどのようなスキルが必要かどうかをリストアップします。
すると自分の理想の仕事ではどのような人材が求められているか傾向が掴めてきます。例えばFigmaやCSSなどのハードスキルや、コミュニケーションなどソフトスキルなどです。
そして次は、それを今の自分と比べます。足りないところをリストアップし優先順位をつけて学びます。1ヶ月後、一年後、二年後、三年後の自分の到達目標と、それを踏まえて『今』やるべきこと頭に入れておきます。
3、自信を持つ
就職活動では落とされることのが多いので、自分に強みなんてなにもない…なんて弱気な気持ちになることもありました。しかし、強みとは相対的な事です。
例えば私は学校を出たばかりで自信があまり無いですし、ベテランさんなど上を見たらきりがありませんが、世界を見るとデザインなんて一ミリもかじっていない人が大半です。自信を持つべきなんです。英語だってネイティブに囲まれて撃沈することもありますが、ちゃんとコミュニケーションが取れていれば自信を持つべきなんです。日本人は(というか私は特に)謙虚すぎる人が多く、損をしてると感じます。完璧で無くては自分のスキルとして誇れないと思ってしまいがちです。
完璧で無いことでも、スキルを掛け合わせてユニークな人材になること、そしてそれを活かせる場所に行くことで強みとなります。
4、一歩一歩
一見、自分には手の届かないと思ってしまうような道でも、階段を一段一段登っていけば徐々に手が届くものです。そして階段を登るにつれてゴールと思っていたものと違うところに本当に自分のやりたい事が見えてくるかもしれません。とりあえず1段目を登らないことには、その先の道は見えないものです。
昔1ヶ月だけ、市の就職活動クラスに参加したことがありました。そこでは、UIUXデザイナーだなんてアラサー子持ち未経験でしかも英語が完璧でない人には大変な道だし、Webデザイナーになる道は辞めてもっと簡単な道を目指した方がいいのではと言われました。もちろん自信はなかったけれど私はどうしてもWebデザインの仕事がやりたかったので、ESLの英語学校、日本食レストラン、日本語の仕事、英語でのWebデザインの学校と、一歩一歩づつ近づいて、望んでいた職での就職までたどり着かせて貰えました。
5、情報発信
英語で情報発信をすることは就職につながります。例えばデザイナーにとって一番多いのはミディアムとドリブル、ツイッター等でしょう。それは就職活動にとって大きなプラスである事は間違いがありません。
英語での発信が難しい場合は、まずは日本語からでもいいです。発信をすることはライティングの勉強にも繋がります。
準備すること
1、リンクドイン
アメリカの転職活動においてリンクドインは必須です。
写真やプロフィールは第一印象に最も左右されます。養成所ではリンクドインの書き方クラスがあったほどで、短く端的に相手に好印象に残すことは重要です。
キャリアの欄で一番書くべき事は、私が仕事で何を成し遂げたかということです。また、リンクドインの推薦文欄は1つでもいいから書いてもらうべきだと習いました。
2、求人探し
紹介
- 人事側も何処の馬の骨ともしれない人を雇うよりも、紹介してもらった人を雇った方が確実だと考えます。前職のつながりやコーヒーチャット等の繋がりから紹介がもらえたら素敵です。紹介した側にはリファーラルボーナスが入る事があります。
メール
- どうしても入社したい企業に求人がない場合、企業のホームページに書いてあるメールにレジュメを送ると返信があることがあるくるそうです。熱意が伝わりますし、企業の需要とマッチした場合、新しくポジションを作ってれる場合もあると聞きました。
リクルーター
-
Indeed.com
日本語のアナリストの仕事は、インディードからスカウト頂き面接に至りました。 - ZipRecruiter.com
- LinkedIn Recruiter
- パソナ
アメリカでの日本語系の仕事を多数保有しています。
求人
- Crunchbase
企業を調べる際に便利です。 - Glassdoor
企業を働いたり面接をした際の、会社の評判を書き込むサイトです。職の地域ごと平均年収も見ることができます。 - リクナビネクスト
アメリカでの就職活動の求人はほとんどありませんでした。 - 地域の情報誌
毎週発行される地元の情報誌のクラシファイドは見逃せませんでした。サンフランシスコのだとベイスポ、Jweekly、びびなびは、毎週楽しみにみていました。私がアメリカ1社目でやった日本食レストランのサーバーの仕事は、ベイスポの求人情報欄で見つけました。 - 地元の掲示板
サンフランシスコにじやの掲示板ではレストランサーバーの求人等を多く見かけました。たまにユニークなものもあるので行くたびに注目していました。
3、英語のレジュメ、カバーレター、ポートフォリオ
- 英文法添削サービスのGrammarlyは、Safari/Firefox/Chromeで 無料で使えます。スペルミス、前置詞の間違い指摘、冠詞のつけ忘れ指摘してくれて最高です。これなしでは生きられません。
- レジュメやポートフォリオの添削サービスを利用するといいです。もっとカジュアルに添削して欲しい場合は、Wyzantの英語のtutor(家庭教師)さんや、近所の図書館のキャリアセンターのおばあちゃんに添削してもらったこともありました。
Wyzantは2018年に活用しました。希望の時間の3時間前に予約をしたにもかかわらず、豊富なジャンルのtutorさんから選ぶ事ができ、予約もメッセージのやりとりも全てオンライン上で、迅速にご対応いただけました。アメリカの面接事情に詳しいと書いてあるアメリカ人に1時間レッスンをお願いしました。私の場合は、レッスンの前にレジュメとカバーレターを先生にお送りし、それを見ながらスカイプで40分ほど英語でテレビ電話をしました。私のレジュメの英語の間違いを直してくれるだけではなく、私の強みを企業にどう押し出したらいのか、どう英語で表現したら良いのかという事まで話しながらコンサルティングしてくださり、残りの20分で赤字で添削したレジュメとカバーレターを送り返してくださいました。単発1回で40ドルお支払いしました。 - デザイナーでの就職の場合は自分がどのようなデザインをしてきたかを示すポートフォリオが必須になってきます。奥が深すぎてここでは書ききれないのでまた別途記事にしたいです。
4、面接の練習
Tell me about yourself からはじまり、なぜこの職を希望するのか、デザインへの考え方などを聞かれます。最後に質問がありますか?とは必ず聞かれるので、こちらからの質問も考えておきましょう。
アメリカのデザインの職の場合はホワイトボードチャレンジという面接項目があることが多いです。お題が出されて、制限時間の中で面接官に問題をヒアリングしながらプロダクトを解きデザインスキルを示すというものです。養成所では毎週練習のクラスがありました。
5、必要書類
面接が通った後に提出する必要があったのは以下の項目です。
- グリーンカードの裏・表の写メ (労働ビザ)
- ソーシャルセキュリティーナンバーカードの写メ
- 私本人のアメリカの銀行口座の情報
- 緊急連絡先
- W-4
- I-9Form
- 雇用同意書
- E-Verify Participation Poster を一読
- Right to Work Poster を一読
- 個人情報について
- 規約等
実務経験
職歴を作る
職種を選ばなければ未経験歓迎の職もあるので、「職歴を作る」は最後にしましたが、デザイナーとして転職をする際、最も自分で越え難い壁が最初の職歴を作ることです。求人を見ていると、アメリカでのデザイン職の殆どは実務経験を求めてきます。日本よりも未経験応募可能案件は確実に少ないです。なので養成所でも、フリーランスでも、ボランティアでも、インターンでもチャンスをいただいて挑戦しましょう。
私の場合は、サンフランシスコのプロダクトデザイナー養成所Tradecraftに行って、シリコンバレーのスタートアップ三社と実務経験を積ませて頂き、履歴書にかける経歴と、ポートフォリオを作りあげました。
アメリカ就職体験談
2018年、日系レストランに就職
2014年から語学学校に通ったり出産子育てをしてきましたが、アメリカで働くなんて私には無理だと思いながら過ごしていました。しかし子供も1歳半になった事でデイケアに預けられるようになり、初めての就職活動を始めました。一番のモチベーションは、30代になったばかりの今なら雇ってもらえるチャンスがあっても40才からだとチャンスが減ってしまうかもしれないという恐怖と、主人からのボランティアでもいいから社会に出なさいというプレッシャーでした。
街の情報誌ベイスポに出ていた求人に連絡をしました。人生初めての英語を使ってお金をもらうことにとても緊張したことを今でも忘れません。当時全くの未経験の私を雇っていただいたレストランオーナーさんには感謝です。
ウェイターの仕事は英語での食べ物の説明、お客さんとの雑談、オーダーを取る、準備などです。また、コインランドリーでクオーターを入れて洗濯をしたり、ゴミを分別して捨てたり(我が家はシューターなので、全て一つの穴に入れて業者が仕分けするのでよく知りませんでした)、帰宅のためにウーバーを呼んだり(子供もいるのでいつもはバス移動でした。ナンバープレートを見て正しい車かを見つけるのはなるほどと思いました)初めての体験もたくさんさせてもらいました。
人生初めてのチップも頂きました。時給15ドルにプラスして、サーバーの経験年数に応じてチップを頂くことが出来ます。ベテランさんだと時給をはるかに上回るそうです。
2歳の子持ちがレストランで夜に週2で働くのは2ヶ月が限界で辞めることになりました。
私でもアメリカでお金を得る事ができるんだというこの経験は、私にとって大きな一歩でした。この経験がなかったら日系アナリストの仕事に応募する勇気は出なかったと思います。
ちなみに地域誌の求人からは5社面接を受けましたが、結局4社から採用して頂きました。就職は企業側のタイミングが最も大事なのでいますぐ来れる?と言われたり、半年後に採用のご案内が来たこともありました。面接時にご縁がなくても一喜一憂せず就職活動を続けるのが大切みたいです。
2018年、日本語系アナリストとして就職
ほぼ同時並行で、インディードさんからの紹介で日本語系アナリストの仕事をさせていただくことになりました。レストランの時は面接は日本語でしたが、ここから先は英語しか使えないと思うと緊張しました。
英語で問い合わせると、リクルーターさんと英語面接一回、実際働く上司と英語と日本語で1回でした。恵まれ過ぎていたオフィス環境と、優しすぎる同僚の皆さんのおかげで楽しく6ヶ月続けさせてもらい、アメリカでもオフィスワークでフルタイムで働けるんだという自信を得ました。デザイナーへの転向のために学校に行くために退社を決断しましたが、もしデザイナーになれなかったとして挫折したとしても、同じような日系の仕事だったらきっとまたいつでも雇ってもらえるだろうという心の支えになりました。
この経験がなかったらデザイナーの養成所に挑戦しようだなんて勇気は絶対に出なかったので、本当に感謝です。
2019年、デザイナー養成所に入学卒業
面接とプロジェクト提出をする事で入学させて貰えることになりました。嵐のような3ヶ月、同期や仲間と共にプロジェクトを進めました。私の時はデザイナーコース5人、グロースコース3人でした。経歴は様々で、スタートアップを立ち上げたことのある人、金融系のエンジニア、研究者、先生など、様々なバックグラウンドの人たちが集まってプロジェクトを進めました。
まず、スタートアップ関連の知識、自己管理の仕方、デザインの知識、キャリアの築き方等様々なカリキュラムを学び、その後、サンフランシスコのスタートアップとのデザインプロジェクトを3社とやらせていただきました。
仲間と共に追い詰められながらもデザインのことだけを朝から夜まで考えた3ヶ月はオンサイトでの養成所の良かったところだと思います。
2019年、デザイナーとして就職
養成所を卒業後、デザイン職ということだけにこだわって、業界や日米関わらずやみくもに就職活動しました。
結局2つの面接を受け採用して頂きましたが、この度いちばんお世話になったのはリクルーターさんでした。面接は英語のみで、ポートフォリオのプレゼンテーションや、質疑応答に答えるものでした。募集要項には、当時の私には手の届かないような項目(コーティング系)もたくさんありましたが、それらのスキルは1年以内に学ぶ目標で、ジュニアとして採用していだきました。
UIUXデザイナーとして初めての1年間を働かせて頂いたことで、今の自分に何が足りないのがが本当によくわかりました。実際に会社で働いてみると、プロダクトのスパンも規模も学校時代とは全く違います。社会に求められることがどれだけ高い位置にあるのかは、就職して初めて痛感しました。
第二子出産を機に退社しましたが、背伸びをしたチャレンジを経験させていただいた会社に感謝です。
2021年、フリーランス
2019年のプロダクトデザイナー養成所と、最初の会社で経験したこと、それと2014年からやってきたワードプレスの経験を元に、Webデザインの仕事をフリーランスとして受注しています。
2021年1月に退社してから3月に第二子を出産する間に、ローカルビジネスのウェブサイトの構築や高速化、日系大手企業のサイトコーディングのお手伝い等、5つのフリーランスの仕事を受注させて頂きました。日本語ではランサーズ、クラウドワークス、英語ではアップワークスを活用しました。
オフィスワークでチームで作り上げることが好きなので、いつかまたオンサイトのお仕事ができるように子育てがひと段落したらまた就職活動を頑張りたいです。
未経験からデザイナー職にキャリアチェンジしたときの5つのこと
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最後まで読んでいただきありがとうございました。 2014年からサンフランシスコ、2021年からテキサス州北ダラスに住んでいます。渡米の事や、海外生活、仕事、出産育児、義務教育での事など、私の経験や調べた情報が少しでも誰かのお役にたてたら嬉しいと思いブログを始めました。まだまだ至らないブログですが充実していけるように修正していきたいと思います。
お仕事依頼等ございましたらインスタDMもしくはEmailまで。
インスタ: https://www.instagram.com/sfjp.mamamari
メール: mamamari.sf.tx@gmail.com
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